【公認会計士・税理士が解説】家賃やソフト利用料の“前払い”で節税!クリニックが使える「短期前払費用の特例」とは?

2025.10.03

クリニックや医療法人の院長先生、事務長様、毎年の決算対策や資金繰りにお悩みではありませんか?今回は、決算前の節税対策としても有効な「短期前払費用の特例」について、クリニック経営に特化した視点から分かりやすく解説します。この制度を正しく理解し、賢く活用しましょう。


「短期前払費用の特例」とは?

通常、未来のサービスのためのお金(前払費用)は、支払った時点ですぐに経費(損金)にすることはできません。例えば、来年1年分の家賃を今年支払っても、今年の経費にできるのは原則として今年の期間に対応する分だけです。

しかし、「短期前払費用の特例」を使えば、支払った日から1年以内にサービスの提供を受ける費用については、支払った事業年度に全額を経費として計上することが認められます

これにより、利益が多く出た年度に翌年分の費用を前払いして経費計上することで、その年度の法人税を抑える効果が期待できます。


クリニックで活用できる費用の具体例

この特例は、毎月同じ内容・品質のサービス(等量等質の役務提供)が対象となります。クリニックで対象となる可能性が高い費用は以下の通りです。

⭕️ 対象となる費用の例

  • 地代家賃: クリニックのテナント料、土地を個人で所有している場合の地代など
  • 保険料: 火災保険や賠償責任保険などの損害保険料、生命保険料など
  • ソフトウェア利用料: 電子カルテや予約システムの年間利用料など

❌ 対象とならない費用の例

  • 保守料: サービスの提供内容が毎月一定でない場合があるため
  • 税理士・弁護士の顧問料: 専門家によるコンサルティングであり、「役務の提供」とは性質が異なるため
  • 支払利息: 金銭の貸借から生じるものであり、役務の提供の対価ではないため

活用する上で押さえるべき4つの重要ポイント

この特例を適用するには、いくつかの重要な注意点があります。ルールを誤ると、税務調査で否認される可能性もあるため、必ず確認しましょう。

1. 支払のタイミングは「期末日」が原則

例えば3月決算の医療法人が、4月分から翌年3月分までの家賃を年払いする場合、支払日は事業年度の最終日である3月31日に行う必要があります。1日でも早く(例えば3月30日に)支払ってしまうと、その全額が前払費用として資産計上され、その期の経費にできなくなってしまいます。

2. 「継続適用」が前提

この特例は、一度適用したら翌年以降も継続して同じ処理をすることが前提です。「今年は利益が出たから年払い、来年は月払い」といったように、年度ごとに処理方法を変えることは原則として認められません。

3. 対象は「等量等質」のサービスのみ

前述の通り、毎月同じ内容・品質のサービスが対象です。そのため、月によって作業内容が変動する可能性のある保守契約などは対象外となるケースが多いので注意が必要です。

4. 支払い方法は柔軟に

現金や銀行振込だけでなく、クレジットカードや約束手形による支払いも認められています。資金繰りの状況に合わせて適切な支払い方法を選択できます。


まとめ

「短期前払費用の特例」は、適用できる費用や支払いのタイミングに注意が必要ですが、うまく活用すれば決算対策として非常に有効な手段となります。特に、高額な医療機器のリース料や不動産の賃料を支払っているクリニック・医療法人様にとっては、節税効果が大きくなる可能性があります。

「自分のクリニックではどの費用が対象になるだろう?」「具体的な手続きが知りたい」など、ご不明な点がございましたら、ぜひ一度、医療税務に詳しい当事務所までお気軽にご相談ください。貴院に最適なタックスプランニングをご提案させていただきます。