ホームページ作成費用は経費になる?広告宣伝費として計上する際のポイント

2025.10.03

新しくクリニックを開業される先生や、医療法人の事務長様から、「ホームページの作成費用は経費として認められますか?」というご質問をよくいただきます。

結論から申し上げますと、ホームページの作成費用は、原則として「広告宣伝費」として一括で経費(損金)に計上することが可能です。

現代のクリニック経営において、ホームページは患者さんへの情報提供や集患に欠かせない重要なツールです。その作成費用を適切に会計処理することで、節税にも繋がります。

この記事では、ホームページ作成費用を広告宣伝費として計上する際の概要、具体的な手続き、そして注意すべき点について、専門家の視点から分かりやすく解説します。

概要:なぜ広告宣伝費として認められるのか?

ホームページは、不特定多数の潜在的な患者様に対して、クリニックの診療内容、医師の紹介、アクセス方法といった情報を提供し、来院を促すためのツールです。これは、パンフレットやチラシと同じく、販売促進活動の一環と考えることができます。ホームページが費用計上できるのは、コーポレートサイトやランディングページは日々更新が行われるため、その支出した時点の効果が1年以上及ばないと考えられるため、費用として取り扱われます。

そのため、税務上もその支出は「広告宣伝費」として扱われ、支出した事業年度に全額を経費として計上することが原則として認められています。

詳細な手続:経費計上の具体的な流れ

ホームページ作成費用を広告宣伝費として経費計上するための、具体的な手続きと会計処理の流れは以下の通りです。

1. 証憑(しょうひょう)の保管

税務調査などで支出の事実を証明するために、以下の書類は必ず保管してください。

  • 契約書:ホームページ制作会社と交わした業務委託契約書
  • 請求書:制作会社から発行された請求書
  • 領収書または振込明細:費用を支払ったことを証明する書類

これらの書類は、経費計上の根拠となる最も重要なものです。

2. 会計処理(仕訳)

会計帳簿には、以下のように仕訳を記録します。勘定科目は「広告宣伝費」を使用します。

【例】ホームページ制作費用として100万円を普通預金から支払った場合

借方貸方
広告宣伝費 1,000,000円普通預金 1,000,000円
摘要ホームページ制作費用(株式会社〇〇)

この仕訳を経費が発生した日付で記帳します。

注意点:資産計上が必要になるケース

原則として広告宣伝費として処理できますが、ホームページの内容や機能によっては「ソフトウェア」として資産計上が必要となり、一括で経費にできないケースがあります。注意すべき点をしっかり押さえておきましょう。

1. 高機能なプログラムが含まれている場合

ホームページに以下のような特殊なプログラムや高度な機能が含まれている場合、その部分は「ソフトウェア」と見なされ、資産として計上し、複数年(原則5年)で減価償却を行う必要があります。

  • 高度なオンライン予約システム
  • 電子カルテと連携する患者管理システム
  • ECサイトのような決済機能
  • 会員専用のログイン機能とデータベース

これらの機能は、単なる情報提供ではなく、それ自体がソフトウェアとしての価値を持つと判断されるためです。制作会社からの請求書で、通常のホームページ制作部分とソフトウェア開発部分の金額が明確に区分されていると、会計処理がスムーズになります。

2. ホームページ公開後の維持管理費用

ホームページは作成して終わりではありません。公開後にかかる費用についても、適切に処理する必要があります。

  • サーバーレンタル費用、ドメイン維持費用
    • 「通信費」や「支払手数料」などの勘定科目で、支払った都度経費計上します。
  • コンテンツの更新費用(お知らせの追加、ブログ記事作成など)
    • 軽微な更新であれば「広告宣伝費」や「業務委託費」として経費計上します。
  • 大幅なリニューアル
    • デザインを一新したり、大規模な機能追加を行ったりした場合は、新規作成と同様に、その内容によって「広告宣伝費(経費計上)」または「ソフトウェア(資産計上)」として処理します。

3. 判断に迷う場合

作成費用が非常に高額であったり、プログラムの資産性についての判断が難しい場合は、自己判断で処理する前に、必ず顧問税理士にご相談ください。税務調査で指摘を受け、後から修正申告や追徴課税が発生するリスクを避けることができます。

まとめ

クリニック・医療法人のホームページ作成費用は、原則として「広告宣伝費」として一括で経費計上することが可能です。これにより、支出した年度の節税効果が期待できます。

ただし、高度なプログラム開発などを伴う場合は「ソフトウェア」として資産計上が必要になるなど、注意すべき点も存在します。

会計処理や税務申告でご不明な点やご不安な点がございましたら、ぜひ私たちのようなクリニック・医療法人の税務に精通した専門家にお気軽にご相談ください。適切な会計処理で、安心できるクリニック経営をサポートいたします。