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【院長先生必見の節税策】医療機器やパソコンもOK!30万円未満の資産は即時経費にできる「少額減価償却資産の特例」を専門家が解説
2025.10.03
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院長先生、事務長の皆様、日々の診療でお忙しい中、クリニックの経営改善にも心を配られていることと存じます。
「新しい医療機器を導入して、より質の高い医療を提供したい」 「スタッフが使うパソコンを新しくして、業務効率を上げたい」
このように、設備投資はクリニックの成長に不可欠ですが、一度に多額の費用がかかるのが悩みどころです。通常、10万円以上の設備は「固定資産」として、法律で定められた年数(耐用年数)にわたって少しずつしか経費にできません。
しかし、中小企業のクリニック・医療法人様が活用できる「特例」を使えば、取得価額30万円未満の資産を、購入したその年に一括で経費(損金)にできることをご存知でしょうか?
この制度をうまく活用すれば、納税額を抑え、キャッシュフローを改善させることが可能です。今回は、多くのクリニックが見落としがちなこの節税策「少額減価償却資産の特例」について、分かりやすく解説いたします。
1.「少額減価償却資産の特例」とは?
この特例は、中小企業者等が、取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産(医療機器、パソコン、什器など)を取得した場合、年間合計300万円までを上限に、その全額を取得した事業年度の経費(損金)として計上できる制度です。
本来であれば、何年にもわたって減価償却を行う資産を、購入した年に一括で経費にできるため、即時性のある高い節税効果が期待できます。
【対象となる法人】 資本金の額が1億円以下など、一定の要件を満たす中小企業者等が対象です。多くのクリニック・医療法人がこの対象となります。
【クリニックにおける対象資産の例】
- 電子カルテ用のパソコン、タブレット、モニター
- 待合室のテレビ、ソファ、空調設備
- 診察室の椅子、デスク、パーテーション
- ポータブルエコー、血圧計などの比較的小規模な医療機器
- スタッフ用の事務机やロッカー
など、幅広い資産が対象となります。
2.この特例を活用する3つのメリット
メリット1:大きな節税効果
利益が出ている年度にこの特例を活用すれば、課税対象となる所得を圧縮でき、法人税等の納税額を大幅に抑えることができます。
メリット2:キャッシュフローの改善
納税額が減ることで、手元に残る資金が増えます。その資金を新たな設備投資や運転資金に充てることで、より安定したクリニック経営に繋がります。
メリット3:経理事務の負担軽減
通常であれば、固定資産台帳に登録し、毎年減価償却費を計算する必要があります。しかし、この特例を使えば、購入した年に全額を損金として処理できるため、その後の管理や計算の手間が省けます。
3.活用する上での注意点
便利な特例ですが、適用するにはいくつかの注意点があります。計画的に活用するためにも、以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
(1) 年間合計300万円の上限
この特例を適用できるのは、年間で合計300万円までです。年間の設備投資計画を立てる際に、この上限を意識することが重要です。
【もし300万円を超えたら?】 超えた分については、原則として通常の減価償却を行う必要があります。ただし、取得価額が20万円未満の資産であれば、3年間で均等に償却する「一括償却資産」という別の処理も選択可能です。どの資産を特例の対象にするか、計画的な判断が求められます。
(2) セットで購入したものは「一体」で判断
例えば、待合室に応接セットを設置する場合、ソファが20万円、テーブルが15万円だったとします。これらは個別の価格では30万円未満ですが、通常は一体で機能するものとして扱われるため、合計額の35万円で判断します。この場合、30万円を超えるため、特例の対象外となってしまいます。
(3) 申告手続きが必要
この特例の適用を受けるためには、確定申告の際に、対象とした資産の取得価額の合計額を損金経理するとともに、その内訳を記載した明細書を添付する必要があります。
(4) 賃貸用の資産は対象外
自院で使用するものが対象であり、例えば他者に貸し出す目的で購入した医療機器などは対象外となります。
【まとめ】計画的な設備投資と専門家への相談が成功のカギ
「少額減価償却資産の特例」は、クリニック・医療法人の経営にとって非常に有効な節税策です。
- 30万円未満の資産は、年間300万円まで一括で経費にできる
- 節税とキャッシュフロー改善に直結する
- 適用には上限やセットでの判定、申告手続きなどの注意点がある
「どの資産が対象になるのか?」「年間300万円の枠をどう使えば最も効果的か?」といった判断には、専門的な知識が求められます。
税理士法人大下会計では、クリニック・医療法人の税務・経営に精通した専門家が、貴院の状況に合わせた最適な節税プランをご提案いたします。設備投資をご検討の段階からご相談いただくことで、より効果的なタックスプランニングが可能です。